↓日本人で車椅子生活をしている人の旅日記
■歩きにくい街
釜山の街を歩いて観光するが、これが結構大変だった。
片側4車線とかの大きな道路があって、信号がない。歩道橋とか、地下道とかが多い。
これは大変だなと思いつつも、横断歩道を探して、大回りをして渡るなどして一日、釜山を観光する。
夕方になり、この日のうちに慶州にいくため、釜山駅に向かう。
地下鉄で中心街から釜山駅に向かう。まず地下鉄に乗るのが大変だった。
改札までも、階段の入り口だけで、エレベーターもエスカレーターもない。
友人2人では、私は重たく運べない。おんぶは私が立って背負う人にひょいっと乗りかかれないので
ウエイトリフティングみたいに下から担ぎあげないといけないので非常に難しい。
階段では、4人の人に担いでもらうのが一般的方法である。
すなわち、あと2名の助けがいる。
同じく地下鉄に乗る人に声をかけるが、英語で話しかけるせいもあってか誰も止まってくれない。
本当なんです。誰も助けてくれない。
助けてくれるのは、まず若い人。儒教のせいなのか何なのか、年齢が上の人は振り向いてもくれない。
また、軍人さんとか、カップルの男(彼女の前で格好つけたいから?)は手助けしてくれる。
これ、韓国の街で介助を頼むときの法則。
■崩れ落ちる
なんとか釜山駅に着いた。これから大陸列車で慶州に出発だ。
韓国の列車は、大陸列車なので乗り場に階段があって、車イスは乗るのに苦労する。
釜山は始発駅なので、早めに乗車して、入り口に近い席に座る。
さて、道中は快適に過ごすが、乗ったからには降りないといけない。
慶州駅に列車は5分停車と時刻表にはかいてあったが、5分といえど、介助してもらって降りるので、
慶州駅に着いたら、すぐ降りないと残されたら大変だから素早く行動を取ろうと話合う。
いよいよ、慶州駅について、降りようとしたそのとき、
ホームから、大きい荷物を抱えた人達が血相を変えて、列車に乗り込んでくる。
ちょっと待て。降りる人がたくさんいるんだよ。車イスが降りるから待ってよ。デッキも狭いんだし。私と、私の肩と体を支えていた友人は、必死に叫んだ。
ちょっと待って!待って! ストップ!ストップ!!ウエイト!!!
しかし、そんなのは聞こえるものでもなく、降りようとする私達を無視して列車に乗ってくる人々。
我々は降りる客、乗ってくる客にサンドウィッチされ、押しつぶされる。
♪おしくらまんじゅう押されて泣くな。
やめてくれ~
私を支えてくれた友人の手は私から離れ、もろくも私の体は崩れ去った。
ただただ流れに沿って床に落ちていくしかなかった。
それはスローモーションのように、ゆっくりはかなく映像だけが流れるように。
嵐が去った。床に崩れた私は、体中を踏まれ、顔まで踏まれ、どろどろになった。
友人達も同様に、もみくちゃにされていた。
しばらく列車のデッキから動くことなく、互いに顔を見合わせ呆然とした。
呆れるというのを、生まれて始めて経験した。
■タクシーの乗車拒否
古都、慶州では、古い建造物を散歩しながら見学に行った。
その帰り、歩いて帰るには遠いのでタクシーを拾おうと決める。
ところが、なかなかタクシーがつかまらない。
観光地なので、タクシーが待機しているが、なぜか乗せてくれない。
困ったなー。仕方がないので、道路に出て、流しのタクシーを拾おうとするが拾えない。
どうして? 車イスの人がいたら、拾いにくいのかな? それとも、日本人だから?
しばらく歩いて、別の観光地のタクシー溜まりがあったので、今度は作戦を変えてみた。
友人が一人で交渉に行くことに。するとどうだ。友人は満面の笑みを称えて帰ってくるではないか。
OKサイン。これでやっとホテルに帰れる。
ところが、私が、タクシーに近づいた途端。
タクシー運転手は、突然 ” No driver !! " と叫びだして、我々を乗せようとしない。
車イスがいなければ乗れて、車イスがいると乗せてくれない。
廻りの他のタクシー運転手も我々に目を合わせない。やっとわかった。乗車拒否だ。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
↑約12年前の話
↓最近
2006年 8月 記載
私が韓国を訪問したのは12年以上も前のこと。 21世紀に入り全世界的にバリアフリーへの取組みは劇的に変化しています。
日本でも、12年前と比べると、隔世の感があります。ずいぶんと車いすでも自由に動ける世の中になりました。
非常につらい経験をした私は、あえてまた韓国を訪問する気にはならなかったので、状況の変化はしりませんでしたが、
2005年1月に、韓国で「交通弱者便宜増進法(移動権法)」制定されたとのこと。
バリアフリーへの取組みが積極的に変わっているようです。嬉しいことですね!
私と同じ脊髄損傷の車いす、旅好きで世界旅もする年齢も同じであるキーヤンさんは、韓国がお気に入りの国。
印象というのは人によって随分違うものです。24歳の時に会社の慰安旅行でソウルに行ったのが最初で合計6回訪問。
飛行機搭乗も、大韓航空、アシアナとも非常に親切で、車いす単独搭乗も問題ないとのこと。
キーヤンさんが韓国の最新バリアフリー事情の写真を送ってくれましたので紹介します。
人気観光地「仁寺洞」にある身障者用トイレです。しかし鍵がかかっていたとのこと。利用したいときにすぐ利用できない!
昔の日本(今でも)でも、鍵がかかっていることがありました。バリアフリーが進んでいないところによく見られる状況です。
ちなみに、駅のトイレは鍵は掛かって無く利用できたとのこと。(1994年に訪問した私のときは全て鍵)。
街中のビルにも車椅子トイレもあったが、明らかに設計ミスで使いにくかったとのこと。
地下鉄の写真です。元々バリアフリー設備は無かった(2002年訪問時)らしいですが、
ソウル市長の政策で数年前にすべての駅に設備を整えたらしいです。すごいですね!政治強制力は強いですね!
ただし駅ごとに使っている設備のメーカーや設計は様々とのこと。
車いす一人で地下鉄に乗りまくったそうです。駅には昇降機かエレベーターのどちらかはあるそうです。
昇降機を利用するときは呼び出しボタンが必ずあるそうですが、スピーカーの向こうにいるスタッフに英語は通じない。
よって若い人に声をかけて韓国語で伝えてもらうそうです。若い人は割りと向こうから声をかけて来てくれることが多いそうな 。
でも、年配の人はあまり優しくない!とのこと。
街中で困っていたらお願いすると手伝って来てくれるそうです。でもお礼を言っても無愛想。
店に入るにはすぐに手伝ってくれるし、いやな顔もされない。タクシーの乗車拒否は一度もないとのこと。
(1994年に訪問した私は乗車拒否の嵐だったので、えらい違いです)
しかし、白タクはかなり賃金も安いせいもあり、かなり無愛想。黒タクは観光客だと思うとボる。
チャーターしたりすると、運転手がいろんな店へおぶってくれて非常に助かったそうです。
韓国はみんな徴兵へ行くので、体が頑丈でおぶれる人が多いとのこと。
ただし、町で車いすを見る頻度は、日本より全然少ないそうです。悲しくなるほどに。
南大門市場には道を這っている人もいたそうです。それもラジオを鳴らしながら。
そして韓国には偏見があるみたいで、あなたは車椅子だからこうしなさいって言う。。。
若い人には偏見が少なく、かといって日本の若い人のように無関心無関係ってほどでもないとのこと。
駅のバリアフリー設備を実際に利用する人は、まだまだ少ないだろうと推測。地方はソウルと違って遅れているそうな。
外国人観光客を意識したものなのかもしれないとのこと。実態はあんまりよくわからないそうです。
http://www.kijikiji.com/colum/korea/korea.htm