前回、当初非暴力闘争として3月1日に始まった万歳運動が、3月後半に入って暴力闘争化してきた経緯を調べました。
日本語
http://bbs.enjoykorea.jp/tbbs/read.php?board_id=ttalk&nid=511412&st=writer_id&sw=zztop
韓国語
http://bbs.enjoyjapan.naver.com/tbbs/read.php?board_id=ttalk&nid=511412&st=writer_id&sw=zztop
デモの主体が「知識層、学生」から「民衆」へと変わり、暴力闘争化したことが解りますね。
「万歳運動(非暴力)」と「独立運動(暴力を伴う)」は分けて考えないといけませんね。
韓民族の独立運動としての暴力闘争の内容としては、次の通り。
近距離武器:鎌、棍棒、火
遠距離武器:瓦礫(投石に用いる)
運動の規模:数百人から2千人
主たる襲撃対象:面事務所(村役場)、面長(村長)自宅、警察官駐在所
面事務所襲撃時の行動から推測できる目的:
面事務所の物理的破壊(放火含む)による行政の遅滞。
納税書類、戸籍書類、地籍書類の焼却による行政の遅滞。(面事務所への放火はせずに、書類だけ焼却したケースも存在する。)
では韓国側資料である「堤岩里3.1運動殉国記念館」の資料を用いて、一次検挙を時系列でまとめてみましょう。
http://www.jeam.go.kr/jap/j_history/j_history_01.htm
内容は、当時セブランス医学専門学校で教鞭を取りながら3・1運動民族代表33人と密かに多くの接触を持ち、また独立運動に積極的に協力し別名34
人といわれるスコフィールド(Francis William Schofiled Junior)博士の水村里に対する報告を中心に記述する。
第一次検挙班の活動。日付青=独立運動側の行動、日付赤=検挙側の行動
【3月28日】沙江里で警察と駐在所が破壊され、野口巡査部長が殺害される。(堤岩里事件の要因1)
韓国独立闘士1000人vs野口巡査部長1人
【3月28日】烏山で金融組合ならびに日本人の家屋に対する放火。
【3月29日】800餘名の韓人が駐在所・面事務所・郵便局・日本人の家屋などを破壊し、烏山駅を襲撃
【3月31日】発安の市で千名の路上演説万歳デモ、日本人小学校に放火。(堤岩里事件の要因2。他の箇所では3月30日と記述してあるので、どちらかが間違い)
【3月31日】安城郡陽城で約2千名が集まり、警察官事務所・郵便局ならびに面事務所を破壊・放火し、電柱を倒した。
【3月31日】安城邑内で午後5時に約1千名が集まって運動をし、軍人まで動員し、やっとのことで鎮圧。
【4月1日】発安市の周辺の山荘80餘箇所でのろしを上げる。
【4月1日】騒乱を警戒して、発安市の日本人家族43名が避難する。
【4月2日】京畿道警務部警視で、京城憲兵隊武官長谷部大尉が、憲兵・巡査11名を率い、安城郡陽城方面に出動、元谷面を過ぎて陽城方面に向かう途中で主導者を検挙、安城に4名の部下を残し、4月4日に京城に戻る。
【4月3日】約1千名が長安.雨汀面事務所を破壊し花樹里駐在所に放火し、川端豊太郎巡査を殺害。(堤岩里事件の要因3)
韓国独立闘士1000人vs 川端巡査+巡査補2人
(巡査補は意識不明で発見される。殺害されて居ないのは、応戦しなかったからか、それとも堤岩里と同様に韓国人であったからかは記述からは不明)
【4月3~5日】駐在所の安全が確保されないため、水原郡内の南陽、発安、新旺、沙江、振威郡内の西井里、安中、鳳南、栢峯の8警察官駐在所は、一時引き揚げ。
【4月2日】長谷部大尉が、「4月5日に市場が開かれる時に発安の市に1万2千餘名の運動員が集まる」という情報により、4月4日午後6時に発安の市に到着。
【4月5日】午前3時半、花樹里事件の指導者27人中14人の出身地である水村里を急襲、放火したとされる(暴徒数と検挙班の人数の差から、暴徒側の拠点を無くす上で、検挙班による放火の可能性は否定できない)。天道教の伝教室とメソジスト教会礼拜堂を含む38戸が全焼。そして日本兵の銃剣で多数の運傷者(?)が出たとされるが、放火による死者の記述はない。焼失戸数は堤岩里事件のそれを上回る。水村里事件。
【4月6日】午前1時に長谷部大尉が憲兵警察官9名ならびに歩兵5名を率いて水村里に行き6名を検挙する。
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独立運動側、検挙班側、両陣営ともに放火の応酬になっている。
そのため、堤岩里事件の前奏曲と表現されている。
検挙班の人数は10人から14人。これで1000人からなる暴徒に対応させようとしたこと自体に無理がある。検挙側の放火等の行き過ぎた行為は、その恐怖の裏返しなのだろうか?
【堤岩里事件】時系列でまとめてみましょう。【Ⅲ】に続く。